No Man Is an Island Book Blog

世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

ブリジット・ジョーンズの日記 by Helen Fielding

こちらは原作より、もはや映画の方が有名かもしれない。

私は時々かなりの偏見人間になる。

本作についても、原作の存在は知らなかったけど、映画は知っていた。

だが、単なるふざけたラブコメディだろうと思って、全然見ようとは思っていなかったのだ。

しかし、私の姉がこの映画が大好きだということで、一緒に観ようとDVDを借りてきて誘われたと記憶している。

テキトーに観ていたが、だんだん面白さにはまっていったのだ。

そして最終的にはキャー!サイコー!とまで思っていた。笑

 

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確かにちょっとふざけたラブコメディではあるものの、下品で中身のないB級映画ぐらいにしか思ってなかったのはちょっと反省した。(さすがに言い過ぎか)

偏見や思い込みはやっぱり良くないね。

そんなもののせいで、せっかく良いものを知るきっかけを失ったら馬鹿みたいだから。

 

そして今回、原作をたまたま見かけたので、読んでみようと思い至りました。

毎度、映画を先に観てしまうとよくない部分もあるなーと思いつつ読んでみたのですが、やはり・・・。

映画については、何と言っても、ラストシーンが好きだったんですよね。

観た人には分かるでしょうけども。

原作でも同じラストなのかな、と思って期待していたので、全然違っていたので拍子抜けしました。

映画に比べるとラストが弱かった気がするのは私だけだろうか。

たまに、映画が原作を凌ぐという事件が起こりますね。

 

とまあ、そんな感じでしたが、原作も原作ですごく面白かったです。

本を読みながら、しかも小説を読みながら、こんなに、けたけた笑える事もなかなかないです。

なので、笑いたい!って時には是非読んで欲しい本です。

やっぱり読むなら女性なんでしょうけど。

男性が読んでどこまで共感して、どこまで笑えるのかはちょっと分からない。

 

内容は知っている人が多いと思いますが、ブリジットは30代の独身女性。

彼氏もいない。

ちょっとぽっちゃり体型で、常に体重を気にしている。

その割に大酒飲みのヘビースモーカー。

ちゃんと仕事はしてるけど、結構自堕落な生活。

ネガティブ発言が多いのですが、こんなネガティブ発言を言いまくるポジティブ人間もいないだろうなってぐらい、傍から見たらスーパーポジティブウーマンです。

出版社で働いてますが、そこの上司ダニエルとひょんな事から恋愛関係に。

でもこのダニエルってやつが驚くほどに軽い男。

ブリジットも、いい歳して、気づけよーって感じですが。

簡単に裏切られる、というかそもそもダニエルは真剣じゃなかった。

対照的なのが、マーク・ダーシーという弁護士。

両親の知人の息子で、ブリジットが小さい時からの知り合いだったという。

ダニエルのような、いけてるモテ男って感じでは全くない。

むしろ堅物で真面目すぎで、面白みのない男性、としてブリジットには映ります。

 

あ、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を知っている人ならすぐに気づくのでしょうが、この作品は「高慢と偏見」の現代版パロディみたいになってますね。

ダーシーという名前は、「高慢と偏見」に出てくる男性の名前そのままですし、話の展開もほぼ同じです。

作者はイギリス人女性ですが、イギリス人はやはりこの作品が大好きなんだろうな、と改めて思い知りました。

 

本作は、タイトル通り、ブリジットの日記形式で物語が進んでいきます。

1月から12月までの1年間がつづられているのです。

日記の最初は大抵、体重、アルコール摂取量、煙草本数、カロリーなんかが書かれていて、いかにブリジットがダイエット命かがわかります。

でも体重はさほど変化しないし、ダイエットダイエットと言いながら、お酒やタバコの量も減ったり増えたり。

本当に浮き沈みの激しい、まあすごく面白い女性なのです。

フェミニストシャロン、腐れ縁の彼氏がいるジュード、ゲイのトム、という個性の強い友人たちと日々語り合いながら恋愛に仕事にそしてダイエットに励むブリジットのたくましい生活を思う存分楽しめるストーリーになっています。

 ブリジットの両親、特に母親もなかなかの曲者・・・。

 

さて、ある日の日記より。

「独身でいるあいだはせいぜい楽しんだほうがいいわよ」とマグダはいった。

「いったん子どもができて仕事を辞めちゃうと、信じられないくらい立場が弱くなるわ。ジェレミーが、わたしの毎日なんて長い休暇みたいなものだ、と思ってるのはわかってる。だけど、よちよち歩きの子と乳飲み子の世話って、基本的にはものすごい重労働なのよ。しかも、終わりがないの。」

(中略)

マグダはとても美人だ。

わたしは彼女が悄然としてシャンパン・グラスをもてあそぶのを見ながら、女にとっていったい何が正しいことなのだろう、と考えていた。

隣の芝生のほうが緑に見えるというのはよく知られた事実だ。

わたしはこれまでいったい何度スランプに陥り、鬱になり、わたしってなんて無用の存在なんだろうと考えたことか。(中略)

それにひきかえマグダは、広口瓶に八種類ものパスタを詰めたりして、大きなお屋敷に住み、一日中でもショッピングに出かけていられるご身分だ。

なのに、そのマグダがこんなに打ちしおれて、みじめで、自信をなくして、あなたは幸せよ、なんていってる・・・・・。(180−181)

 

マグダはブリジットの友人。

上記のように一見幸せすぎるような状況にあるが、夫の浮気が発覚。

すっかり落ち込んで打ちしおれているところ、彼女と夕食を共にした時の場面だ。

どんなに幸せだと思っても、夫の軽はずみな行為でその幸せはもろくも崩れ去る。

母親としてせっせと育児に励んでいるような時に、夫がそんな愚かなことをしていると思うと・・・。

マグダにとっては、家庭に入れば幸せだと思っていたものの、社会と切り離されたような感覚、育児の大変さ、そしてそれを労うどころか、外で好き勝手に遊ぶ夫に、辟易しているのだろうね。

そんなマグダからしてみれば、独身で周りから早く結婚しろ!とうるさく言われながらも、キャリアを持ち、自活しながら、自由に人生を生きているブリジットの方がよっぽど幸せに見えるのだろう。

ブリジットからしてみれば、マグダが夫にされたことは最悪だが、恋愛は全くうまくいかず、それでいて恋愛のことで頭がいっぱいだから、愛する夫と子どもたち、という家庭を手に入れたマグダが自分より不幸であるはずがない、と思っている。

人間って結局どこの国にいようと、本当に同じなんだね。

つまりは無い物ねだり。

 

ちなみに、ブリジットの母親はすごくぶっ飛んだ人として描かれています。

別に夫に浮気された、とかそんなこともなかったのに、急に豹変して、家を飛び出る、否、夫が追い出されたのか。

キャリアもなかったけれど、生来の女性的魅力で男性を手玉に取りながら、テレビパーソナリティの仕事を獲得。

今まで家庭に収まり、家事に育児に生きてきた彼女が突如爆発したかのように超自由人に変貌を遂げます。

ブリジットは兄と二人兄妹。

母親はブリジットに、あなたを生んだことを後悔していないけど、もし今娘時代に戻れるなら、わたしは子供を産まないわ、とまで言ってしまう母親なのです。

しかも全然悪びれる様子もなく。

相手の気持ちなどお構いなしの何も考えていないような人なのかな。

まあ、彼女としては子供や家庭ってのは自分の人生の犠牲にしか感じていなかったのかもしれない。

そんな生き方をする人も当然いていいのだが、そもそも結婚してはいけなかった人でもあるのでは。

でもこんな母親、結構世の中には多いのかもしれない。

 

日記の最初の方では、ずっと上司のダニエルのことを考えているブリジット。

恋人関係に発展したものの、所詮軽い男のこと、あっさり他の女の元へ行ってしまうのです。

いつでもタフなブリジットもこの時ばかりは落ち込みも激しかったですね。

面白いのは、1471という電話サービスがあって、電話をかけてきた相手の電話番号につながるシステムらしいのですが、これを一日に何回も確認しているんですね。

ダニエルが自分にかけてきてないか、ってのを確かめているんだけども。

それを、体重の記録と同じく記録しているのですが。

時にはそれが17回とかなんですね。

2、3回ならまだ分かるけど・・・。

こうゆうところ本当に面白い。

私なら、こんなことしないけど、と思いつつ、でも誰かに恋したらこうなるのも頷ける。

そんなことしたって意味ないのにって思いながらも、何度も携帯を見てしまったりとか、それと同じ意識でしょうから。

でも、これをやると相手にもバレるという難点が。

そんなリスクを冒しながらも、なんか本能で生きているブリジットが羨ましくさえ思えてくる。

ブリジットほどじゃなくていいけど、ちょっと分けて欲しい、この度胸。

 

そして、ダニエルに裏切られた傷心もあり、キャリアアップのためもあり、転職します。

次はテレビのレポーターになったりと本当にバイタリティあふれるブリジット。

 

そこで、最初に登場していたマーク・ダーシーがいよいよ本性をあらわしてきます。

しかし、良い意味で。

マーク・ダーシーも、最初こそブリジットのことを品のない女だ、とでも思っていたのでしょうが、徐々に彼女の他の女性にはない、ちょっとドジだけどまっすぐで一途な姿に心惹かれていったのです。

マークが、実は自分に好意さえ抱いていることを知ったブリジットは驚きますが、ブリジットも次第に彼の本当の姿に気づいてきます。

マークはバツイチ。(しかも日本人だったという設定。世界一残酷な民族という、日本人として見逃せない辛辣な描写まであり!笑)

でも、実は前の妻をダニエルに寝取られたことが発覚。

そんなこんなで、ブリジットの思いは完全にダニエルからマークへと移行して行く。

 

10月15日の日記にて。

 

体重 五十七・一キロ(きのうよりまし)、

アルコール 五単位(でも、特別の日だったから)、

煙草 十六本、

カロリー 二四五六、

ミスター・ダーシーのことを考えた時間 二四五分。

 

これを読んで私は思わずにんまり。

ブリジット、かわいいな!おい!

この時点で、ブリジットは自分に対して、まだマークへの想いを認めていない。

別に彼のことを好きなわけじゃない!って否定しているのだ、にも関わらずこんなに彼のことを考えているのだからかわいいよ本当に。

 

良い恋愛小説は、読者を思わず笑顔にしてくれる箇所がありますね。

にんまり、といったほうがいいかもしれないけど。

 

そして・・・本当にまさに「高慢と偏見」と同じ展開なのですが、ブリジットの母親が新しいラテン系の恋人と一悶着を起こしてしまいます。

このラテン系のフリオという男性、ちょっとしたワルだったのですね。

ブリジットの母親はそんなこと知らず、でしたが。

そこでお金が絡む犯罪に発展してしまい、大変な騒ぎに。

そこで登場するのが人権弁護士マーク・ダーシー。

ブリジットと寝ることしか考えていなかったダニエルとは大違いで、マークは真面目で真剣そのものでこの問題に取り組んでくれた。

しかも、ブリジットが頼んだわけでもなく、自発的に。

フリオがいるポルトガルにまで出向いてまで。

そしてその間はマークから連絡がこなくて不安なブリジットを置いといてでも真剣に事件解決に奮闘した。

 

書くのを忘れていましたが、ブリジットの両親や両親の友人らは、最初からマークとブリジットをくっつけようとしていました。

半ば本気、半ばからかいの気持ちもあったのかもしれないですが。

ブリジットは、マーク・ダーシーなんて!最初こそ、そう思っていました。

私が本作で一番、グッときたセリフがありまして。

 

とたんに全員のなかから大きな歓声があがり、ジェフリーが『彼は陽気で善良な男なれば』を歌いはじめた。

ウナがわたしについて何かいうのを待ったけど、彼女は何もいわなかった。

彼女らしい。

その瞬間、わたしはマーク・ダーシーを好きになることに決めた。

誰もかれもが急にわたしと彼をくっつけようとするのをやめたからだ。(374)

 

こんなコメディ色の強い本ですが、この部分では私、泣きそうになりました。

とてもいいセリフだと思います。

なんか、ジーンと来ちゃったぐらいです。

上記は、ポルトガルにいるマークが、ブリジットの父親に電話をかけて来て、フリオと話をつけて、なんとか一部の金は回収できた、事件は収束に向かっている、ということを知らせて来たときの場面です。

このマークの正義感、しかも決して、僕が君のためになんとかする、とかそんなことも一切言わず、ただ無言で助けてくれたマーク。

いや、これは好きにならないわけにはいかない。

今まで結構自由に、あるいは自堕落に、悪い男に引っかかりながら、面白いけどちょっと不真面目な感の強かったブリジットが、今までになく真剣になる場面ですから、私もこの一文を読んでハッとしてしまいました。

 

いいですね、本当の人を見つけた、って感じで。

その後は、無事マークと一緒になり、12月の日記が終わりました。

 

映画のラストシーンは、でも、もっと素敵なんです。

まだ見ていない人は是非見てみてください。

これで私はすっかりコリン・ファースのファンになってしまいました。

 

そして本作には続編もありますね。

こちらもまたいずれ読んでみることにしましょう。

 

ブリジット・ジョーンズの日記 (角川文庫)

ブリジット・ジョーンズの日記 (角川文庫)