世界を旅する読書たち 

RIZAです。世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

失楽園 by John Milton

とても長大な小説である。

サタンが堕天使となり、地獄に堕とされ、神への復讐を誓うところ、天使たちと堕天使たちの争い。
神が人間を創り、アダムとイブを愛する、それに恨みを持ったサタンの激情。
そして神への復讐はその最高の創造物、アダムとイブを誘惑して悪に堕落させることでしか果たせないと知るサタン。
蛇の姿を借りて、禁断の実をイブに食べさせ、イブそしてアダムも堕落する。
神の怒りに触れ、アダムとイブは楽園を追放される。
アダムは自身の犯した罪により、人間が堕落した生まれながらに罪深い存在となることを知り絶望。
天使により、カインとアベルの殺人事件や、人類の愚かしさ、傲慢さと、未来の人類の姿を見せられ絶望する。
その罪を一身に背負って、人類に救いを与えるべく現れた存在が他の誰でもなくイエス・キリストであること、など。

色々本を読むが、やはり文学作品が一番深い!の一言に尽きる。
キリスト教の成り立ち、神という存在の大きさ、根深さがよくわかる作品だ。
作家は一つの作品、ストーリーを通して、自身の思想や、人類や社会が抱える問題の提示、時にはそれへの救出や解決策、そんなものを表現していると思う。
これが文学が滅びない所以であろう。
大長編かつ訳註も盛りだくさんで、読むのに相当苦労したけど、読みきった達成感はただならぬものだ。

キリスト教信者が、神を信じ、それを畏れ、人間は罪深い存在だと考えるのは私はあまり賛成できない。
生まれながらにして悪だというのも信じがたいではないか。
私はそれよりもっと人間の善性に目を向けたい。
神も天使も悪魔もいない。
人間は誰だって善性と悪性を内包しているのだ。
そのどちらを選ぶかは個人の判断にゆだねられる。

聖書の力のあまりの強さに改めて圧倒される。
信じることはできないけど、キリスト教とは非常に興味深い宗教だと思える作品だ。
ミルトンは、人間は救われるべき存在だと訴えているのだろう。
たとえ多くの問題を抱えているにしても。

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)