世界を旅する読書たち 

RIZAです。世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

アンデルセン童話集 by Hans Christian Andersen

ずっと読みたかったアンデルセン童話集。
やっと読めた!
みにくいアヒルの子」目当てで読んだが、想像以上にどの作品も素晴らしかった。

やはり「みにくいアヒルの子」は中でも傑出していた。
結末は知っていたが、それでも超感動してしまった!
知らなかったら、もっと衝撃だっただろう。
常にいじめられ、唯一の理解者だった母からも見捨てられ、どこへ行っても愛されず、醜さゆえに苦しんだアヒルの子。
あるとき、白鳥を見てそのあまりの美しさに感動したアヒルの子は、人生に絶望した最後、白鳥に殺してもらおうとする。
ここまでの絶望が描かれていたとは知らなかった・・・。

「他のアヒルにつつかれたり、メンドリにぶたれたり、家禽に餌をやる少女にこき使われたり、あるいは冬に飢餓で死ぬよりも、あの鳥に殺された方がずっといい」(219)

アヒルの子の絶望を感じる非常に悲しい台詞ではあるが、同時に非常に素晴らしい台詞であるとも思う。
そして「さあ殺してください」とアヒルの子は白鳥の群れへと飛んでゆく。
そのときアヒルの子は水面に自分の姿を見出した。

「それは見るもおぞましい鳥の姿ではなく、優雅で美しい白鳥の姿だった。」(219)

ここでは涙が出そうになるほど心打たれた。
アンデルセン、なんて素晴らしいのでしょう!

迫害されてきたアヒルの子は、実は、鳥の中でも特に美しいといわれる白鳥だったのである。
苦しみが多かったほど、アヒルの子の喜びも大きかったことだろう。

白鳥の美しさには、外見上だけではない何かもっと高尚な精神の美しさをも感じられる。
一方、みにくい、みにくいとアヒルの子をいじめてきた他のアヒルや鶏、七面鳥、猫やガチョウ、メンドリのほうがよっぽど卑しく下等な存在に描かれている。
苦しんだアヒルの子だったが、自身がその美しさに感動し、彼らになら殺されてもかまわないと思えたほどの白鳥に、自分自身こそがなっていたのだという結末は、世で最も美しい結末の一つではないだろうか。
みにくいアヒルの子」について書きまくってしまったが、他にも良い作品がたくさん。
「親指姫」、「マッチ売りの少女」、「人魚姫」も良かった。
とゆうかほぼすべて私は気に入った!

アンデルセンを読むと、彼がいかに自然を愛していたかが分かる。
鳥はよく出てくるね、動物、子どもたち、妖精、おもちゃ、お月さま、花々、沼の王、蝶、モミの木など・・・。
すべてのものに魂を感じ、生き生きと描いていて素敵だった。

童話の良さはそこにある。
人間界だけが世界ではない。
言葉を発さずとも、自然、動物、植物、家の中にあるおもちゃなど、みなそれぞれにそれぞれの世界があり、生きているのだ。

私はずっと、ファンタジーや絵本、童話が好きだったが、アンデルセンは中でも光る存在だ。
本当に素晴らしい世界文化遺産

アンデルセン童話集〈上〉 (文春文庫)

アンデルセン童話集〈上〉 (文春文庫)