No Man Is an Island Book Blog

世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

灰色の輝ける贈り物 by Alistair MacLeod

カナダ人作家による短編集。
なぜ、この本を読もうとしたかって?
好きだった英米文学の授業で、The Boatという短編を読んだのだが、それが非常に印象に残っており、その作品が本作に入っていると知ったからだ!

The Boatは結構好きで、よく考えさせられる話。
船乗りの父を持つ息子。
母は小さいころから海の近くで暮らし、漁師や船を心から愛している。
漁師の夫を持ち、彼女はとても幸福である。
しかし、夫は実は船も海も愛していたわけではなかった。
代々の伝統に従ったにすぎない。
本当は読書が好きで、物静かな人間だった。

ある日、息子は自然の流れで漁師の仕事を手伝わせてもらう。
自分の行くべき道は、もう決められていると思っていたし、父を尊敬もしていたから、彼は漁師になる道以外考えたこともなかった。
しかし、意外にも父の反対にあう。
父は息子に、本当に行きたい道を歩んでほしかった。
伝統や親の望み通りの生き方は、してほしくなかったのである。
父と息子はそれ以来、強い信頼で結ばれるようになる。

本当にやりたいことがあったものの、自分のわがままには生きず、やりたくないことでも仕事としてやり続けてきた父への尊敬と愛の気持ちから、息子は自分も漁師となり、父の力になろうと決め、父にそう告げた・・・。
その後、父は突然亡くなった。
果たしてこれは自殺なのか、明らかにはわからない。
岩波に体を打ち砕かれ、目は鳥にえぐられ・・・と、なんでそんな悲惨な死に方をしたのかと、驚いてしまうぐらいだが、父は自分が死ぬことで、自分の代で、伝統や習慣といったものを終わらせ、息子には本当に生きたいように生きてほしかったのかもしれない。
伝統は確かに大事だが、そればかりに捕らわれる人々を嫌い、またその犠牲になってしまう人々を救いたかったのではないか。

物語の冒頭、息子は大学教授として生きている姿が描かれている。
そう、息子は父の残したメッセージを受け取り、本当に進みたい道を選んだのである。

The Boatの話が長くなってしまったが、正直他の短編はほとんど印象に残っていない・・・。
炭鉱夫の話や、似たようなテーマのものが多かった。

灰色の輝ける贈り物 (新潮クレスト・ブックス)

灰色の輝ける贈り物 (新潮クレスト・ブックス)