世界を旅する読書たち 

RIZAです。世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

朗読者 by Bernhard Schlink

タイトルが良い・・・。
本書を読んだ後に、映画『愛を読むひと』も観たんだけど、タイトルは『朗読者』のままで良かったんじゃないかな・・・。
単に、本を朗読しているだけじゃなくて、語り手の人生、またハンナの人生をも朗読している、そのように感じた。

語り手は、少年の頃、20歳ほども年上のハンナと恋に落ちる。
最初は二人の愛し合う描写が結構ストレートに描かれていた。

しかし、より重要なテーマは年の差恋愛ではなく、ナチス強制収容所問題であろう。
ハンナは、かつてその看守だったのである。
その真実を知った時、彼はハンナをどう見るのか。
かつて愛した女性が戦犯だったという事実。
戦争を経験していない自分が、その状況に置かれていなかった自分が、果たしてハンナを責めることができるのか、という問題。
彼女が、彼に朗読させた理由とは。
全てが重くて、悲しい気持ちになった。

彼は一度は結婚するものの、やがて耐えられなくなり離婚。
ハンナをかつてのように愛することはできなくても、彼女を忘れることができない。
少年の時は、年上の女性への憧れや情欲みたいなものが強かったと思う。
しかし、彼女の犯した罪や、真実を知ったあと、刑務所に再び朗読テープを送り続けたってことは、彼の愛は単なる欲望の愛ではなくなっていったってことだと思う。

少し『ソフィーの選択』と似通うところがあるように感じた。
ただただ重いテーマであるから決して明るい作品ではないけど、美しさもある。
そして戦争が終わった今もなお、ナチスの問題は終わっていないんだなとも思う。
ハンナが罪を犯したことは事実であるが、その奥に隠された真実は決して見失ってはいけない。

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

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