No Man Is an Island Book Blog

世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

居酒屋 by Emile Zola

ゾラの作品は初めて読んだ。

貧しいながらも一生懸命に真剣に働く洗濯婦のジェルヴェーズが、貧困ゆえに破滅して身も心も汚れて行くどん底のような物語である。
愛人に捨てられ、一度は希望を失う彼女も、新しい誠実な夫を持ったことで、将来に希望を持ち、真剣に働く。
その姿が、貧しくても一生懸命に生きることの素晴らしさを教えてくれる。
しかし、夫がいつまでたっても貧しい生活に耐えきれなくなり、酒に狂うようになってから状況が一変してしまう。
そこからのジェルヴェーズの転落ぶりが恐ろしかった。

この作品は、貧困が真面目な人間を堕落した人間へと変えてしまう姿を描いているが、単に貧困だけが原因ではないのではないかと思う。
彼女の場合、貧しくても食い意地は張っているし、見栄っ張りでもある。
余裕がないのに、派手にパーティを開いたりすることで周囲の反感も買っている。
質素であることができずに、金を使い果たし、飢え死にするのである。
周りの家庭も決して豊かではないが、慎ましく暮らして不幸にはならない。
だから、彼女の場合は自業自得なのである。
金を持ってようが持ってなかろうが、結局その人の人生を一番左右するのはその人の心だとつくづく思う。
貧困という環境が彼女の性格を変えたことも確かだが、彼女が元来持っていた欲が、破滅の一番大きな原因だったのかもしれない。

ゾラは貧困の悲惨さも描いているのだが、それと同時に欲深い人間の破滅も厳しい目で見ているのではないだろうか。

居酒屋 (新潮文庫 (ソ-1-3))

居酒屋 (新潮文庫 (ソ-1-3))