No Man Is an Island Book Blog

世界文学を中心に読みあさっては感想を書き連ねています。素敵な本たちを中心に紹介していきます!

木を植えた男 by Jean Giono / Frederick Back

フレデリック・バックの絵が印象的な絵本である。

主人公の男がある日出会った老人。
彼はただ木を植えている。
戦争に参加し、疲れ切った主人公が再び老人を訪ねると、彼はまだ木を植え続けている。
老人は俗世間が戦争中も、ただひたすら木を植え続けていたのである。
その木は、いくつかは失敗に終わってしまったが、またいくつかは立派に成長していくのであった。

簡潔な内容ながら、強いメッセージ性のある作品である。
人々は愚かにも争い合い、戦争をやめられないのに、そんなこととは無縁にただひたすら木を植え続ける老人。
世界では戦争という大量殺人が起き、破壊の地となっているのに、男の世界では新しい命が吹き込まれる。
人は殺すこともできるが、誕生させることもできる。もし人類のエネルギーが全て生まれる方に使われたら・・・どれだけ世界は変わるだろう。
弱く見えてしまいがちな老人がこんなにも立派で力強い。
生命を潰し合う人間と新たな生命を育む人間。
どちらが強くて立派で、そして人間のあるべき姿かなんて、聞かなくても分かるだろう。

木を植えるって一見平凡なことに見えるが、何十年という月日をかけて成長していく木を見ると、人間は木が成長している間、一歩も前進していないことがわかってしまう。
木は黙々と育っていくのに、人間は同じことの繰り返し。戦争、終戦、そしてまた戦争・・・
俗世間から逃れたい気持ちもよくわかる。
人間ってあまりにもアホすぎますからね。
しかし、木を植え続ける人が一人でもいる限り、人間にも救いはあるのかもしれない。

木を植えた男

木を植えた男